| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-153 (Poster presentation)

野生絶滅種コシガヤホシクサの野生復帰地における定着と水位および立地条件との関係

*市川沙央里(筑波大・生命環境),鈴木康平(筑波大・生命環境),永田翔(つくばアクアキャンプ),田中法生(国立科博・筑波実験植物園),上條隆志(筑波大・生命環境)

コシガヤホシクサ ( ホシクサ科 ) は日本固有の一年生水生植物であり、環境省レッドリストでは野生絶滅種 ( EW ) に指定されている。本種の絶滅原因は水位管理方法の変化であり、2009年から最後の自生地である茨城県下妻市砂沼において絶滅前の水位管理方法に戻し、播種による野生復帰が試みられている。本研究では、本種の野生復帰を実現させ、自立的に維持可能な個体群を確立するための効率的な播種方法を提案するために、本種の生育可能な環境を明らかにすることを目的とした。

砂沼のワンドの岸部に50 cm × 50 cmのサブプロットを904個設置した( 計226 m2 )。6880粒/ m2の播種数で播種を行い、4-11月の個体数、最終生存個体数、花序数を2011年から2013年にかけて記録した。生育環境を明らかにするために土壌の粒径組成、比高、水位を計測した。

最終生存個体数は,中程度の粒径組成の割合が高い土壌、中程度の比高で多かった。比高が-230cmから-160cmの間で個体は生存していた。比高の高い所では、水位0cmの日数が長くなるため、水位低下による乾燥が本種の生存に影響していたと考えられる。また比高の低い所では、最高水位が高くなるため、高水位による光量不足が本種の生存に影響を与えていたと考えられる。


日本生態学会