| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-164 (Poster presentation)

山口県島田川河口砂州における海浜植物群落の拡大過程/Expansion process of Coastal Vegetation at the Shimada river mouth , Yamaguchi prefecture.

*二神良太,岡浩平(広島工業大学・院・工学系研究科)/*Futagami R and Oka K(Grad.Sch.Of Science and Technology , Hiroshima Institute of Technology.)

砂浜では,台風などの攪乱によって,海浜植物群落の消失と再生を繰り返しているが,瀬戸内海において海浜植物群落の拡大過程は明らかになっていない.山口県島田川は,最近30年の間に河口砂州が新たに形成され,海浜植物群落が定着・拡大している.そこで,本研究では島田川河口砂州を対象にして,地形の経年変化と海浜植物群落の拡大過程の関係を明らかにすることを目的とした.

過去から現在までの地形と植生の変化を把握するため,1981年,1992年,2008年の空中写真から,河口砂州と植生の位置および面積を算出した.次に,現在の地形と植物の分布を把握するため,対象地に80×185mの調査区を設け,5×5mの方形区に分割し,水準測量と植生調査を行った.また,優占種のハマゴウは,最大草高と枝の最大直径を測定することで,定着時期を推定した.各調査は,2013年8月から2014年1月の期間で行った.

河口砂州の面積は,1981年の0haから1992年が約0.6ha,2008年が約1.4haと拡大していた.ハマゴウの最大草高と最大直径は,河口砂州の基部に近い場所で高く,先端で低かった.河口砂州の形成過程と比較すると,形成初期の立地にハマゴウが定着しており,最近形成された立地では定着していなかった.また,前者は海浜植物群落,後者は内陸性植物群落が成立しており,砂州の形成時期によって植生が異なることが分かった.


日本生態学会