| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-171 (Poster presentation)

鳥獣保護区の指定解除はエゾシカの影響を低減させたか?

*稲富佳洋(道総研環境研),上野真由美(道総研環境研),日野貴文(酪農学園大学)

エゾシカが鳥獣保護区等の狩猟禁止区域に集中し、生態系に多大な影響を及ぼしている事例が各地で報告されている。しかし、鳥獣保護区の指定を解除し、狩猟を解禁した場合、エゾシカによる植生への影響がどのように変化するのかを検討した事例は少ない。北海道厚岸町の鳥獣保護区とその周辺部で、2011年にエゾシカの密度指標やササ類の高さ、木本類の樹皮剥ぎ本数を比較したところ、鳥獣保護区は周辺部に比べてエゾシカの密度指標が非常に高く、エゾシカによるササ類や木本類への影響も顕著だったことが明らかになった(稲富ほか2012)。この鳥獣保護区は、2012年9月に指定が解除され、2012年度以降は狩猟や駆除による捕獲が実施されている。本研究では、鳥獣保護区の指定解除後にエゾシカの密度指標と植生の追跡調査を行い、鳥獣保護区の指定解除の効果検証を行った。エゾシカの密度指標を把握するために、2011~2013年の夏期に鳥獣保護区とその周辺部に自動撮影カメラ(Bushnell Trophy Cam)を設置し、撮影頻度を比較した。また、鳥獣保護区とその周辺部に10m×10mの調査プロットを8カ所ずつ設定し、2011~2013年にミヤコザサの被度と高さ、2012~2013年にオシダとサラシナショウマの食痕率、草丈及び開花率をそれぞれ測定し比較した。本発表では、これらの調査結果や狩猟や駆除による捕獲実績から、①鳥獣保護区の指定解除によってエゾシカの密度指標は変化したのか?②密度指標の変化に伴う植生の変化は見られたのかを評価する。


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