| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-196 (Poster presentation)
生物多様性と生態系機能(例えば落葉リターの分解)の間に正の相関があるということは長年報告されている。しかしそのメカニズムの完全なる解明には至っていないのが現状である。本研究で我々はstoichiometryの理論を応用し,腐食食者種間の化学量比の違いが資源選好性を変化させ、河川内の落葉分解率に影響すると予測した。つまり,栄養塩豊富な(C:NおよびC:P比が低い)腐食食者は栄養塩豊富な落葉リターを選択的に摂食し,栄養塩が乏しい (C:NおよびC:P比が高い)腐食食者は,あまりえり好みをしないと考えた。その場合,様々なC:NおよびC:P比を有する腐食食者が存在する方が,落葉リターの分解効率が上昇するかもしれない。
上記の予測を検証するため、我々はマイクロコズム実験を行った。そのさい投入する腐食食者の種数および化学量比の多様性を変えるという処理を施し、各処理間の落葉分解率を測定した。その結果、栄養塩豊富な(C:NおよびC:P比の低い)体組織を有する腐食食者は栄養塩豊富な落葉リターを優先的に摂食し、栄養塩の乏しい(C:NおよびC:P比の高い)体組織を有する腐食食者は特定の落葉リターを選好しないという現象がみられた。さらに、集団内に化学量比の異なる種が含まれた際、落葉分解率が上昇するという上記の予想を指示する結果となった。