| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-211 (Poster presentation)
焼畑などの人間の活動により熱帯林の多くは部分的な破壊を繰り返し、その結果、多くの地域でモザイク状の森林が分布している。こうした地域にある断片化した植生パッチはそれ自身が在来種のすみかになることや、飛び石や回廊として生物の移動を助けるなどの生態学的機能があることが分かってきている。しかし、こうした植生パッチを対象とした景観レベルの研究のほとんどはパッチの面積、距離、形状など空間的な属性に焦点を当てたものがほとんどであり、時間経過による植生の遷移を考慮に入れた研究は極めて少ない。これはGIS(地理情報システム)が空間解析に特化した技術であり、時間的情報を扱うのに不向きであることが関係していると考えられる。そうした技術的制約を解決するため、本研究では、植生パッチの空間的情報に時間的情報(植生の遷移年数)を付加させるアルゴリズムを開発した。マレーシア・サバ州の焼畑二次林地域を対象とし、過去22年のLandsat衛星画像を用いて森林の焼畑履歴を特定し、それを高解像度衛星画像WorldView2のオブジェクトベース分類の参照データとして適用することで植生パッチを焼畑後経過年数ごとに分類した。その結果、全体精度80%以上の高い精度で植生パッチを経過年数ごとに分類することに成功した。