| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-213 (Poster presentation)
生物多様性基本法の施行などにより、近年では企業が生物多様性に配慮した事業活動をする動きが急速に高まっている。都市域における生物多様性に配慮した取組みとしては、企業所有地に生物が利用できる緑地を創ることが第一に挙げられる。一方で、生物生息地としての都市緑地の評価事例は少なく、その効果は実態も含めてまだ充分に解明されているとは言えない。したがって、都市緑地のような限定された規模の緑地をどのように計画し管理すれば、効率的に生物の生息場所としての質を高められるかについての知見や方策が求められている。本研究は生物多様性の指標とされることが多い鳥類に着目し、都市緑地を鳥類の生息場所として機能させるための緑地計画および管理上の知見を得ることを目的として、鳥類相とそれに影響を及ぼす環境要因との関係性を明らかにするために行った。
本研究では、まずは東京都市域の企業や官公庁が所有する13箇所の屋上緑地において、2012~13年の二年間で計12回×1時間の鳥類相調査を実施した。また、毎木調査などにより調査地の環境特性(樹冠面積等)や周辺の環境条件(緑被率や大規模緑地までの距離等)を抽出した。
野外調査で得られたデータの解析における問題点として、限られた調査量では本来調査地を利用しているであろう鳥類が確認できない場合も多く調査地における鳥類相の過小評価に繋がる可能性がある、という点が挙げられる。本研究では、発見率を考慮した階層的統計手法により調査地における鳥類の分布をモデル化し、各鳥類の生息確率と各環境要因との関係性を明らかにする。