| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-011 (Poster presentation)
植物個体の化学組成や資源量は部位レベルで大きく異なるため、それを利用する昆虫は最適な部位をしばしば厳密に選択し利用している。ニジュウヤホシテントウHenosepilachna vigintioctopunctataはナス科植物を主な食草とするが、東南アジアの幾つかの地域では移入種であるマメ科のCentrosema molle(以下、マメ)も利用している。インドネシアでは、19世紀にこのマメを移入した記録があるため、マメの利用は古くとも200年前に生じたと考えられる。この新規食草であるマメの利用については、その利用が若葉に集中しており、餌としての適合性も若葉の方が成葉よりも良好であるという結果が得られている。つまり、新規食草のマメは葉令で餌としての適合性が大きく変化し、野外ではテントウもそれに応答した利用をしていると考えられる。
マメの新旧それぞれの葉を与えた幼虫の飼育実験の結果を比較すると、発育パフォーマンスの大きな違いは、成葉を餌とした際に終齢期の幼虫が蛹化できずに死亡することに由来していた。そのため、本研究では、終齢期の餌状態と蛹化の関係を検討するために終齢期における幼虫の餌の入れ替え実験を行った。その結果、終齢に至るまでの餌条件が新旧どちらの葉であるかにかかわらず、終齢期の餌条件のみが蛹化に影響を与えている可能性が強く示唆された。これは、‘孵化から終齢まで’と‘終齢から蛹化まで’の発育では必要な餌条件が異なることを示唆している。