| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-028 (Poster presentation)
外来種による在来生態系の撹乱や遺伝的多様性の増減は保全生態学において興味深い問題である一方、外来種の侵入・定着による新規環境への適応や分布変動は進化生物学において短期的な適応進化の実験場として近年注目を集めている。小笠原諸島に侵入した特定外来種であるグリーンアノールは1960年代に小笠原父島へ侵入した後、潜伏期間を経て急速に拡大したことが知られている。現在では、父島・母島の全域に分布し在来昆虫の捕食をはじめ在来生態系に深刻な影響を与えていることが報告されている。しかし、侵入からの短期的な定着においてどのような進化的変化が生じ新規環境への適応を可能にしたのかは明らかになっていない。そこで本研究は侵入元であるフロリダ集団と被侵入地域である小笠原、同様に侵入が確認されている沖縄集団を用いて形態学的、進化学的解析を行い、小笠原諸島に侵入したグリーンアノールの適応要因を解明することを目的とした。形態学的解析については侵入元環境からの餌や利用植生の変化を考慮し、頭部・脚部を中心とした形態計測を行った。進化学的解析については適応の候補となる形質や遺伝子を特定するために両集団の全ゲノムを解読・解析した。その結果得られたSNPsを用いて選択の指標であるTajima’s Dを算出し、自然選択を受けている領域の遺伝子を網羅的に検出した。本発表ではそれらの結果を報告する。