| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-031 (Poster presentation)
動物の色彩パターンの多くは捕食者(または被食者)の視覚を欺く機能を持つ。 軟体動物の貝殻の色彩に関する生態・遺伝・分類学的研究は数多いが、その色素自体の同定は進んでおらず、近年ラマン分光による同定が試みられている。本研究では様々な色調の貝殻を用いて514.5 nmの励起光による共鳴ラマンスペクトル解析を行った。貝殻の白色部分には炭酸カルシウムのピークのみ、色素含有部分には炭酸カルシウムのピークに加えてポリエン骨格を特徴づけるC=C伸縮振動およびC-C伸縮振動の強いピークが見られ、色素にはポリエン骨格を持つ化合物が関与することが示された。先行研究より、これらの伸縮振動のピーク位置よりポリエン骨格の共役二重結合長を推定できることが経験的に示されている。本研究では貝殻色素には共役二重結合長が8-12のポリエンが関与していること、更にその長さが貝殻の色調を制御することを示した。