| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-067 (Poster presentation)
近年カエル類のモニタリングとして、鳴き声を指標とした生息状況調査が各地で進められている。カエル類のオスは繁殖期になるとメイティングコールを盛んに行う。種ごとにメイティングコールは異なるため、複数の鳴き声が聞こえても、種の判別は容易に行うことができる。ゆえに、種ごとの生息状況を確認することは可能であり、鳴き声が聞こえる期間は繁殖期間の指標となる。
そこで、本研究では神奈川県川崎市に位置する谷戸田において、音声モニタリングによるカエル類の7年間の出現開始時期と鳴き声が聞こえる期間の傾向を調査した。
調査は2007年3月から2013年12月に神奈川県川崎市麻生区黒川の谷戸に広がる水田(耕作水田、休耕田、水張り水田)で行った。水田に隣接する位置にICレコーダを用いた自動録音装置を設置し、毎日20:00から20:10までの音声を録音した。定期的に音声データを回収し、10分間に一度以上鳴いたカエルの種類を記録した。音声モニタリングと併せて、気温、地温、相対湿度、降水量(積算雨量)、風速、日照時間を計測した。なお天候の指標となる日照時間は調査地から最も近い観測地点である気象庁府中観測地点のデータを利用した。
音声解析の結果、シュレーゲルアオガエルRhacophorus schlegeliiとニホンアマガエルHyla japonicaの2種類の鳴き声を確認できた。講演ではこれらカエル類のモニタリング結果より、繁殖期間におけるカエル類の繁殖参加頻度のパターン、および環境との関係について考察する。