| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS14 (Poster presentation)

実験室内で卵から育てられたオオイタサンショウウオで配偶行動を誘発する

*伊藤頌子, *田中美世 (ノートルダム清心学園清心女子高等学校), 秋山繁治 (顧問)

オオイタサンショウウオは2000年環境省RDで「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に指定さ れている種で、圃場整備や宅地造成で繁殖場所となる水辺環境が失われ激減し ている。これまで10年間、卵からの飼育に継続的に取り組み、性成熟した個体 が確保できているので、本研究では、雌のみにHGC注射し、繁殖期の雄と水槽内 で遭遇させることに産卵させる方法を試みた。

60cm×30cm の水槽に15cm×15cm の合板に3 本の竹ひごを挿した産卵床を設 置した水槽で3回の繁殖行動を観察することに成功した。繁殖行動は、①雄のし がみつき行動、②雄の助産行動、③雌の産卵という一定の順序で構成されてい ることが確認できた。雄のしがみつき行動は7~10時間前から見られ、助産行動 開始から産卵終了までの時間は平均43秒であった。雌が産卵を始めると、雄が 抱き着くのは雌の体ではなく、産卵中または産卵後の卵嚢であることから、卵嚢に誘因するフェロモンが付着していること推測される。また、雌が産卵した 竹ひごは、雄がしがみついたものであったことから、雄のしがみつき行動が誘 因になって雌が産卵場所を選んでいると考えられる。産卵後も卵嚢に居座り、 近づく雄に攻撃を仕掛ける縄張り雄の行動も見られた。


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