| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS18 (Poster presentation)

琵琶湖淀川水系のヌマチチブは国内外来種か?

*井上和樹, *田中佑季, *鎌田知希, *杉本倖平, *黒川亮, *松本菊世, *平山咲彩 (京都府嵯峨野高等学校サイエンスラボ)

ヌマチチブTridentiger brevispinisは中型のハゼ科魚類で、淀川水系のいろいろな場所で採集できる。このヌマチチブは、1989年に、淀川水系の上流である琵琶湖に人為的に持ち込まれたとされる。文献によると、昔、淀川水系には、チチブ類が生息していたとされているが、現在、淀川水系で見られるヌマチチブは昔からのものか、琵琶湖から流下した国内外来種かはわかっていない。私たちはDNAを調べることによりこの疑問を調べた。

琵琶湖淀川水系の各所で採集したヌマチチブ14個体と、比較のために他地域のチチブ類を9個体使用した。実験方法は、京都工芸繊維大学高野教授の協力下、ミトコンドリアDNAのシーケンスを行った。ヌマチチブのミトコンドリアDNAは、向井・西田(2005)が調べている。我々はこの向井の方法に従い、向井と同じプライマーを使用して行った。

実験の結果、6タイプの塩基配列を確認した。ただし、琵琶湖淀川水系の14個体のタイプはすべて、日本DNAバンクのアクセッションナンバーD89586に一致した。

今回の結果、淀川水系のヌマチチブは琵琶湖に侵入したものが流下してきたと考えられた。


日本生態学会