| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-HS27 (Poster presentation)
ハッチョウトンボは、陽当たりがよく、山際などから水が湧いて一年中浅い湿地状態の、限定的な環境でしか生息できないトンボである。絶滅危惧種に指定している県がほとんどであるこの貴重なトンボが学校近隣に生息していることを知り、保護を将来の目標として生態の基礎調査を行った。その結果、この地域では5月下旬に出現し9月中旬に消失、出現個体数のピークは6月下旬、個体の最長生存期間は22日間であることが分かった。
また、他のトンボのように自力で長距離飛行できないこのトンボが、生息地内でどの程度移動するのかを調べた結果、個体の移動距離の最長は123mで18日かけて移動したこと、移動した標識個体の、一日の平均移動距離は13.4mで、一日の平均移動距離の最長は38.1mであった。
この結果をもとに、調査地と山ひとつ挟んだ隣の谷に生息が確認されたハッチョウトンボが、調査地から移動してきたものかどうか、仮説を立て、その可能性について考察した。