| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS28 (Poster presentation)

形態と遺伝子解析に基づく広島県産セトウチマイマイの地域差

広島国泰寺, 広島井口, 広島商業, 千代田, 大門, 安芸南, 西条農業, 祇園北, 安田女子高等学校

セトウチマイマイは,広島県に広く分布しているが,近年,数の減少が懸念されるようになった。文献を調べてみると,セトウチマイマイの形態の研究報告は少なく,遺伝子レベルでの研究はほとんどない。そこで,県内の高校が協力し,広島県産セトウチマイマイの殻の特徴(各部位の大きさ,形態,色帯)と,ミトコンドリアDNAのCOⅠの塩基配列から,その類縁関係の分析を開始した。採集個体は,381にのぼった。

殻の特徴では,広島県全体が文献データより小さいことがわかった。また,江波山や似島の集団は,殻の高さ,直径,殻孔長径・短径が,他集団よりも小さい傾向がみられた。色帯(縞模様)については,分析した採集個体のうち約6割が0204のタイプ,約3割が0000の典型的なタイプであった。しかし,県北や島嶼部では他の地域にはみられないタイプがみられ,殻の大きさと同様に固有の集団となっている可能性がある。系統樹を作成すると,大きく3つのグループに分けられた。最初の分岐点に,廿日市市大野の個体が存在することから,この集団が最初に分かれ,その後でさらに2つの集団がわかれたと考えた。

これらの結果から,広島県産セトウチマイマイの進化を考察した。


日本生態学会