| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-HS30 (Poster presentation)
【目的】クマムシは乾燥によって樽状のtun(タン)という休眠状態になり、その間は100℃以上の高温、絶対零度、真空、高放射線下でも強い耐性で生き抜き、吸水によって活動を再開するが、クマムシ種によって耐性の強さは大きく異なる。耐性の原因物質として従来は昆虫と同じトレハロースが注目されていたが、オニクマムシにトレハロースはほとんど存在しない。そこで耐性の原因物質としてタンパク質に注目して調べる。
【方法】乾燥したギンゴケを水に浸し、活動中のオニクマムシとチョウメイムシを採集した。それぞれ活動状態のものとtun状態にしたものを極限環境下に置き、耐性の違いや乾眠移行・活動移行の境界条件を調べた。さらに、それぞれのクマムシの各状態のものを磨り潰して電気泳動を行い、耐性に関与するタンパク質について検討した。
【結果】オニクマムシにはかなり強い耐性があり、同じ場所で体色以外は同じ形状のチョウメイムシには耐性がほとんどなかった。両種の乾眠移行や活動移行の境界条件も大きく異なり、電気泳動で現れたタンパク質のバンドにも明らかな違いがあった。現在、耐性に関与すると想定されるHSタンパク質やLEAタンパク質について検討中である。