| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-HS41 (Poster presentation)
私たちは学校の慰霊碑前で,ツノゴケというコケを発見した。調べていると,ツノゴケはCO2を葉緑体内で輸送・濃縮するCCMと呼ばれる特徴的なシステムを持っていることを知った。CCMは主に水中単細胞植物において獲得された能力であり,陸上植物の中で唯一ツノゴケのみがもつ。なぜツノゴケだけがCCMをもてるのかに興味をおぼえ,ツノゴケについて研究を開始した。
CCMをもつ生物は,細胞内の大きな葉緑体の中に,ピレノイドと呼ばれるRubisCOが多く存在している構造体を持っている。RubisCOは光合成の過程でCO2を固定する反応を触媒する酵素で,ラージサブユニットが8つとスモールサブユニット8つから構成されている。ピレノイドの形成には,このRubisCOのループと呼ばれる部分の構造に秘密があると考えられており,このループ部分のアミノ酸配列を解析し,比較すればピレノイド有無に関わる,アミノ残基が求まると考えた。
実験の結果,ピレノイドを持っているニワツノゴケと,ピレノイドを持っていないアナナシツノゴケがとても近い関係にあることが分かった。そのことから,ピレノイド有無はアミノ酸配列中の比較的小さい違いによって生じるものであると考えた。