| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS42 (Poster presentation)

アブラナ科植物の生存戦略

*アッペンディーノ舵, *上西龍樹, *中田玄樹, *伊藤悠揮, *鈴木悠太, 小畑洋一 (大阪府立住吉高高等学校サイエンス部)

①各種ダイコン葉の生育過程でのITC濃度の変化を調べた所、どのダイコンでも生育初期にITC濃度が最も高かった。生育初期では食害等を回避するためにITC濃度を高めて身を守っていると考えられる。

②モデル化した食害に応答してダイコン葉のITC濃度がどのように変化をするかを調べ、どのダイコンでもモデル食害に応答してITC濃度の増減がみられ、応答した葉からRNAを抽出し、それを逆転写したcDNAのバンドの発現でその応答を証明した。二次食害を回避しようとしてITCの元となるグルコシノレートを作る遺伝子を活性化させてITC濃度を高めていることを確認した。

③寒冷な石川県と、温暖な大阪で育ったダイコン根の中央部のITC濃度を比較したところ、石川産のどのダイコンもITC濃度が大阪産のものに比べて高かった。低温環境で育ったダイコンはITC濃度を高め、耐凍性を高めていると考えられる。

④各種ダイコンの花、種子、葉のITC濃度を測定した。大型シャーレにモンシロチョウの幼虫を入れ、花、種子、葉から切り取った直径3mmの円を等間隔に置き食草選択実験を行った。モンシロチョウの幼虫がいずれかのサンプルに噛み付いた時を一回として数えた。その後、約40回サンプルの位置関係を変え、幼虫がどれに噛み付くのかを観察したところ、各種のダイコンの葉、種子、花のITC濃度が高ければ食害を受けにくかった。昆虫もITC濃度の高いアブラナ科植物は選択しないので、植物のITCによる防御効果が確認できた

⑤アブラナ科植物を食害している昆虫(オンブバッタとモンシロチョウの幼虫) から高濃度のITCを検出した。ITCが検出された事は、昆虫体内にグリコシノレートを蓄積していたと推測できる。それがどのような生態的意義を有するのかについて、検討していきたい。


日本生態学会