| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS53 (Poster presentation)

名柄遺跡(奈良県、5世紀後葉)のモモ核の分類

*飯田真璃, *太田凪虹, *串田茉美, *後藤美香 (奈良県立青翔高等学校), 生田依子 (奈良県立青翔高等学校教諭)

奈良県御所市の名柄遺跡から約2万粒の植物の核や種子が出土し、多くはモモ核であった。このモモ核を形態により分類し、丸く先端が尖らない核をA類、やや大きく先端が尖る核をB類とした。A、B 類以外にも少数の3種類の核が存在した。名柄遺跡は5世紀後葉の葛城氏の居館跡であり年代が特定されている。そのため当時のモモ核は多くがA、B類であることがわかった。計測は核の長さ、幅、厚さを測定し、長さ/厚さ、長さ/幅、幅/厚さの比を求めた。その結果、モモ核の種類によって各比が異なり前述のように分類できた。B類は維管束が通る小孔があり仁に栄養分を送ることができるためA類より大きいと考えられる。さらに、現生のモモで古代モモと言われている稲田桃の核と遺跡のモモ核との比較をした。長さ/厚さ、長さ/幅、幅/厚さの比は稲田桃が大きく、稲田桃と名柄遺跡のモモ核は異なる種類とわかった。食用の白鳳も同様の比較をし、名柄遺跡のモモ核とは異なる種類とわかった。また、各比は食用の白鳳より稲田桃が遺跡のモモ核に近いこともわかり、稲田桃は食用の栽培品種のモモよりもハナモモに近いことが知られているため、名柄遺跡のモモの形態は現生のハナモモに近い可能性が考えられる。


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