| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS54 (Poster presentation)

須賀利大池(三重県尾鷲市)湖畔に成立する塩湿地性稀少樹種ハマナツメ群落の衰退に影響する要因の検討

*小川栞奈, *脇祐也 (三重県立尾鷲高等学校自然環境研究部), 山本和彦, 木戸澄奈 (三重県立尾鷲高等学校自然環境研究部顧問)

紀伊半島東部に位置する尾鷲市須賀利には、大池とよばれる海跡湖が存在し、その岸辺には1000個体をこえるハマナツメの生育が確認されている。ハマナツメは日本南部の沿海地に分布の限られる稀少樹種(環境省VU)で、1000個体を擁する須賀利大池の群落は、国内最大規模の一つである。しかし最近になり、ハマナツメ個体群が急速に衰退・枯死し、個体数はかつての1/20にまで激減するに至っている。この原因として、シカの食害が指摘されているが、同じようにシカの食害を受けている他の海跡湖では、大池のような急激な減少は見られない。このことは、大池におけるハマナツメ群落の急速な衰退には、シカの食圧だけでなく他の要因も影響していることを示唆していると思われる。大池ではここ10年以上カワウが生息し、その影響によると思われる湖水の富栄養化が著しい。私たちは、このような池の富栄養化がハマナツメ群落の衰退に関係しているのではと考え、2013~2014年にかけて大池と他の紀伊半島東部の代表的な海跡湖で、ハマナツメ群落のシカ食害調査と湖水の水質調査を実施し、群落の衰退と水質の関係を考察した。


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