| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-020 (Poster presentation)
植物の多様性に対する冠水の影響を検証するため、河川合流点にて植生調査を行った。北海道石狩川水系の河川合流点の3つの調査地それぞれに、合流前、合流点、合流後、出合(本流と支流に挟まれた河川敷)の4地点にベルトを設置した。ベルト内に幅2 m×長さ1 mの方形区を3 m間隔で設け、計133方形区について調査を行った。調査は夏と秋に1回ずつ行い、出現した維管束植物の種名、種ごとの占有面積、裸地面積を記録した。
各方形区の比高、国土交通省の河川水位データを用いて、方形区ごとの冠水時間及び冠水回数を推定した。説明変数として、季節、調査位置、方形区高低差に冠水時間または冠水回数を加えた、2通りの解析を行った。GLM解析では種数、種多様度(λ、H´)、分類学的多様度(Δ+、Δ*)を応答変数とし、PERMANOVA検定ではMorisita-Hornの植物群集の類似度(Cλ)から各方形区間の非類似度(1-Cλ)を応答変数とした。
調査を通じて、23目38科82属138種の植物を記録した。GLMの結果、種多様度及び分類学的多様度は冠水時間と冠水回数から負の影響を受けていた。また、種多様度は方形区高低差から正の影響を受けていた。調査位置については、合流後において種多様度及び分類学的多様度が高かった。季節については、夏で種数が多かった。PERMANOVA検定の結果、群集の非類似度に対し全説明変数で有意な影響がみられたが、冠水回数(R2= 0.15)と冠水時間(R2= 0.085)の寄与率が高かった。
以上から、植物群集は冠水の影響を強く受けるが、中でも冠水と退水の繰り返しから強い影響を受けていた。冠水により種数が増加する一方で種多様度が低下したため、冠水回数が増加すると群集構造が単純化することが示唆されたが、比高差が大きい地点では冠水の影響に不均一性が生じ、種多様度が増加することが示唆された。