| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-118 (Poster presentation)
送粉シンドロームの中でもスズメガ媒花は、送粉効率の高い夜行性のスズメガに特化しており、夜に咲く白や薄い色の花、長い花筒、甘い芳香を持つ点など、いくつかの共通した形質を持っている。本研究で着目するオシロイバナ(Mirabilis jalapa L.)は、「夕咲き」「長い花筒」「甘い芳香」「白花」というスズメガ媒花特有の形質群を持ち、実際にスズメガによって送粉されることが原産地で観察されている(del Rio and Burquez 1986)。ところが、オシロイバナでは、スズメガ媒花では通常見られない赤紫色の花が、集団中に白花と同じくらいかそれ以上の高い頻度で見られる。オシロイバナがどのようなメカニズムで集団中に白色、赤紫色、黄色といった多様な花色を維持してきたのかは今まで分かっていなかったが、野外観察により、オシロイバナは、花色ごとに異なる送粉者を利用することで花色の多様性を維持している、という可能性が示唆されている(新村 未発表データ)。
本研究では、オシロイバナの花色の多様化が進化の歴史上、どのように起きたのかを明らかにするために、オシロイバナとその近縁種を用いて、系統解析を行った。また、花形質の進化と送粉者シフトの関係を明らかにするために、祖先形質状態の推定を行った。
系統解析の結果、Mirabilis sect. Mirabilisは単系統群となることが明らかになった。また、節内の系統関係は、全ては解けていないが、白花で夕咲きのスズメガ媒花が祖先的であることが示唆された。
発表では、解像度の高い系統樹を作成することで、より詳細な考察をしたいと考えている。