| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB3-052 (Poster presentation)
[背景・目的]宮城県の水田転作を中心とする大豆作圃場では、環境省が特定外来生物に指定するアレチウリの発生が見られ、圃場によっては収穫皆無となる甚大な被害を及ぼしている。アレチウリは水の流れを介して大規模河川の上流域から下流域に分布を拡大していると考えられているが、農業水利施設の周辺にも大きな群落が確認されており、今後水田地帯での分布拡大が懸念される。そこで、宮城県の水田地帯へのアレチウリの侵入実態を明らかにするために県内全域の巡回調査を行った。
[方法]2009~2013年に宮城県内全域の水田地帯を対象とした巡回調査においてアレチウリの発生が確認された地点を逐次GPS付カメラ等で記録し、用排水路周辺・農道法面・圃場内等、発生場所別に区分した。発生確認地点について、国土交通省公開の国土数値情報標高・傾斜度メッシュデータや河川データ、宮城県土地改良事業団体連合会提供の水土里情報広域水路データ等を基に分布の特徴を解析した。
[結果・考察]1)アレチウリは宮城県を流れる河川・広域水路沿いを中心に、中上流域から沿岸部まで広く分布していた。全域で河川敷や堤防での発生が目立つが、中下流域では水田に接する農道法面や用排水路周辺での発生が多く、圃場内への侵入も確認された。2)標高別の垂直分布は10m付近で最も多く、100m以上でも一定の発生がみられた。また、河川・広域水路から水平方向への分布はおよそ1,000mまであり、圃場内侵入が見られたのは400m付近までであった。河川から離れた地域では農道法面や用排水路周辺での分布が多く、これらが河川から圃場までの侵入の経路となっている可能性が高い。3)確認地点数は少ないが、農外施設の敷地や農道に面した山林での発生もみられ、これらも分布拡大の中継地になっている可能性がある。