| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-053 (Poster presentation)

野焼きがオオブタクサおよびブタクサハムシに及ぼす影響

*村田浩平(東海大・農),田中幸一(農環研)

北米原産の外来昆虫であるブタクサハムシは,1996年に千葉県で発見され,その後急速に分布を拡大し沖縄県を除く全都道府県で発見されている.本種の主な寄主植物は,ブタクサであるが,我が国ではオオブタクサも寄主植物となっている.オオブタクサは要注意外来生物に指定されており,阿蘇地域では,近年,分布が拡大してきたが,野焼きと放牧を実施している内輪山の牧野では稀で,その理由は明らかでなかった.

本研究では,野焼きがオオブタクサとブタクサハムシに及ぼす影響を明らかにするために,野焼きを行う実験区と行わない実験区(対照区)を設置して, 3~8月に調査を行った.オオブタクサの株数は,野焼き直後の株の焼失により,野焼き区では対照区に比べて少なく推移する傾向が見られた.しかしながら,草丈については,野焼き直後から5月まで差は見られず,逆に5月以降,野焼き区では対照区に比べて高い傾向が見られた.茎の直径についても同様に野焼き区で太い傾向が見られた.これらの結果から,野焼きの効果としては,オオブタクサの株数を減少させることがあると考えられた.一方,野焼き区でオオブタクサ個体の成長が大きかった原因として,植物株数の減少による種内・種間競争の低下やリターの燃焼によって生じた栄養分の肥料効果が考えられた.また,外来種である本種をとりまく節足動物相に関する基礎的資料を得ることを目的として,両区におけるブタクサハムシとその天敵であるクモの個体数の推移についても調査を行ったので,その結果も報告する.


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