| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB3-059 (Poster presentation)
本研究では、国内において同属の在来種と外来種が分布している4属の植物を対象に、同属種が同所的に生育するか否かを検証した。北海道上川郡鷹栖町にて、ミミナグサ属のミミナグサとオランダミミナグサ、アカバナ属のアカバナとカラフトアカバナ、オオバコ属のオオバコとセイヨウオオバコ、イヌガラシ属のイヌガラシとキレハイヌガラシ、を調査した。水田畦畔と農道脇の法面にベルトを設置し、対象種以外の全ての維管束植物も記録した。調査した140方形区のうち、ミミナグサは76、オランダミミナグサは51、アカバナは43、カラフトアカバナは22、オオバコは12、セイヨウオオバコは4、イヌガラシは17、キレハイヌガラシは6の区画で検出された。
それぞれの属について、在来種と外来種の在/不在の4つの組み合わせからφ係数を算出し、この在/不在の組み合せが調査地の傾斜、斜面の向き、ベルトの設置場所、水路の形状、調査時期、区画内の在来種数、区画内の外来種数、に影響を受けているか、PERMANOVA検定を行った。さらに1種ずつの在/不在について、同じ説明変数群を用いたGLM解析を行った。
φ係数は、ミミナグサ属で0.099、アカバナ属で-0.117、イヌガラシ属で0.137、オオバコ属で0.101と、絶対値が0.2以下で、それぞれの同属種の生育は同所的とも排他的とも断定できなかった。PERMANOVA検定の結果、調査時期が全ての属について有意な影響を与えていた。GLMの結果からも同属の在来種と外来種で生育時期が異なる可能性が示唆された。この他、調査地の傾斜が在来種には負、外来種には正の影響を与えていた。斜面の向きは在来種が北寄りに多く、外来種が南寄りに多いという傾向も示された。
以上から、同属の在来種と外来種の生育は、排他的とは言えないまでも空間的にも時間的にも生育場所を分けている可能性が示唆された。