| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB3-062 (Poster presentation)
西日本では外来のセイヨウタンポポ(以下、セイヨウ)と在来のカンサイタンポポ(以下、カンサイ)の間で雑種が形成されていることが分かっている。セイヨウは無性的に種子をつくり、親と同じ遺伝子型を持つクローンをつくることができるのだが、セイヨウの花粉がカンサイの柱頭に受粉することで雑種をも生じるのである。雑種には3倍体雑種と4倍体雑種があり、セイヨウと同じ繁殖特性を持つようである。しかし、どうやらすべてのセイヨウや雑種が花粉を作るということでは無いようなので、特定の系統のセイヨウや雑種が花粉の供給源なのかどうかを調べることにした。
京都市、綾部市(京都府)、篠山市(兵庫県)の合計17の緑地を調査地とし、調査時に開花していたセイヨウ、3倍体雑種、4倍体雑種を対象として花粉の有無とマイクロサテライト遺伝子型を調べた。
セイヨウ、3倍体雑種、4倍体雑種のいずれにも花粉形成していた個体と花粉形成していなかった個体が認められた。花粉形成していた個体には複数の異なる遺伝子型が認められた。すなわち、特定の系統が花粉の供給源ということではなかった。また、花粉形成個体と花粉形成していなかった個体に共通の遺伝子型も認められ、花粉形成は遺伝子型のみで決まっているわけではないことが明らかとなった。
一方、3倍体雑種は4倍体雑種よりも花粉形成個体の割合が大きく、理由はよく分からないが、花粉形成と倍数性には対応がある可能性が示された。