| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB3-073 (Poster presentation)
日本海沿岸には砂浜が断続的に発達しており、砂浜環境に特徴的な生物相が認められている。一般的に砂浜は生物多様性が低いと考えられているが、全国的な砂浜域の減少傾向を考えると、砂浜沿岸域の生物群集の現状を把握しておくべきであろう。本研究では本州日本海側の42地点の砂浜での調査をもとに、砂浜沿岸域の小型ベントスの群集組成と砂浜立地条件の関係を検討し、群集の予測を試みた。
ソリネットによる生物の採集を2009年から2012年の夏期に行った。水深約1.0mの地点から汀線まで15m曳網し、持ち帰ったサンプルを室内でソーティングした。各砂浜の立地環境変数として、向き、人工護岸の有無、砂浜長、近隣の砂浜および河口までの距離、砂浜1kmバッファ内の水深帯面積比率(0-5m、5-10mなど)と平均水深、1kmバッファ内の隣接陸域の土地利用比率(水域、市街地、草地など)、吹送距離、衛星画像(MODIS)からえた砂浜5kmバッファ内の水温とChla量を用いた。群集は組成をもとに類別し、これらの変数を用いて正準判別分析を行った。
42地点のサンプルから、55種群の小型ベントスを認識できた。クラスター分析により5群集に類別でき、IndValにて得た指標種より群集の特徴づけが可能であった。判別分析では、変数選択により8変数(平均水深、草地比率、裸地比率、冬期水温、春期Chla、夏期Chla、秋期Chla、吹送距離)の正準判別関数が求められ、正判別率は0.881であった。変数の特徴から各群集の立地上の特徴が明らかとなり、求めた判別関数から日本海沿岸全域の砂浜に成立する群集の予測が可能となった。