| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-093 (Poster presentation)

DNAバーコードデータベースの効率的整備戦略を探る

田辺晶史(水研セ・中央水研)

DNAバーコーディングは、エキスパートによる生物の同定結果を一般人が再利用することが可能になり、調査者によるバイアスを解消できると期待されている。また、エキスパートにとっても、体組織のごく一部や劣化した標本を同定できるようになり、計り知れない恩恵が得られるはずである。しかし、塩基配列解読技術の著しい進展にもかかわらず、DNAバーコードデータベースの整備は遅々として進んでいない。そのため、実際にDNAバーコーディングを行おうとすると、科や目などの高次分類群までしか特定できないなど、期待外れの結果になることが多い。この状況を打ち破るには、DNAバーコードデータベースを劇的に充実させるしかない。

DNAバーコードデータベースの整備を高速化するために我々ができることはそう多くない。DNAバーコードデータの登録までには、採集する分類群の選定、採集、塩基配列解読する分類群・個体の選定、塩基配列の解読、という手順を要する。このうち、採集と塩基配列解読そのものを高速化することは難しい。したがって、採集する分類群の選定と塩基配列解読する分類群・個体の選定を工夫することで効率を上げるほかない。採集する分類群の選び方を工夫しても、その通りに採集することも容易ではないので、ここでは塩基配列解読する分類群・個体の選定方法を検討した。

今回は、演者らが開発したQCauto法によって種レベルの同定を行うために必要な、1種当たりの塩基配列登録本数を推定した。既存のDNAバーコードデータベースから塩基配列を除去して1種当たりの登録本数を2本から20本まで変化させ、除去した塩基配列をQCauto法で同定させることで、正しく種同定できる確率を算出した。昆虫、脊椎動物、植物における結果を報告する。


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