| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-003 (Poster presentation)

暖温帯コナラ林とアカマツ林における炭素動態の比較

*新海恒(早稲田大・教育), 友常満利(早稲田大・院・先進理工), 小泉博(早稲田大・教育)

森林は様々な機能や役割を担い、その中でも特に森林の炭素固定機能が、近年の地球温暖化の観点から注目されている。森林の炭素動態は、生態学的手法によって評価されてきたが、同一地域における樹種の異なる森林の炭素動態を比較した例は少ない。そこで本研究では同一環境下における樹種の異なる森林の炭素動態を明らかにし、その違いについて議論した。

調査は暖温帯の近接したコナラ林とアカマツ林で行った。炭素動態を明らかにするために、毎木調査による成長量の算出、リタートラップ法による枯死量の測定、トレンチ法とルートバッグ法を組み合わせた微生物呼吸の測定を毎月行った。

月当りの枯死量(4-12月)はコナラ林で0.23 (0.04-0.53) MgC ha-1 month-1、アカマツ林で0.35 (0.07-1.19) MgC ha-1 month-1 であった。また両林分とも春から秋に向けてその量は増大した。次に土壌呼吸速度を比較すると、コントロール区とトレンチ区においてその値はコナラ林で422 (173-806)、487 (155-1054) mgCO2 m-2 h-1、アカマツ林で546 (255-1016)、485 (150-829) mgCO2 m-2 h-1であった。またトレンチ区の土壌呼吸速度が安定するまでにアカマツ林で1ヶ月、コナラ林で4ヶ月を要したことからアカマツ林は攪乱に対して順応能力が高いことが示唆された。最後に根の分解率を算出(7-10月)するとアカマツ林で9%、コナラ林で6%であった。本発表では2013年4月から2014年2月までの結果を用いて議論する予定である。


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