| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-012 (Poster presentation)

インドネシア・サトウキビプランテーションにおける農地管理が土壌炭素貯留に及ぼす影響 -耐水性団粒と炭素・窒素安定同位体比を用いた解析-

*荒井見和,金子信博,藤江幸一(横浜国大院・環情),森也寸志(岡山大・環境生命科学),日下宗一郎(地球研), Niswati, A., Swibawa, I.G.(Univ.Lampung), Haryani, S., Gunito, H. (PT Gunung Madu Plantations)

団粒は土壌粒子が何らかの物質によって結合され,有機物を含んだ構造体であるため,団粒の動態は土壌炭素貯留に影響を及ぼすと考えられている.農地栽培管理が土壌炭素貯留に及ぼす影響を明らかにするために,1)バルク土壌の炭素濃度・量,2)耐水性団粒(WSA)のサイズ組成と炭素濃度・量,3)δ13Cとδ15Nの分析を行った.調査は2013年7月に,インドネシア・スマトラ島ランプン州にある1975年に森林からサトウキビ圃場に転換され,2010年に設置した不耕起とバガス(サトウキビの搾りかす)のマルチ施用試験区で行った.バルク土壌の土壌炭素の濃度や量は耕起により減少していた.耕起を行うと0.25-1 mmのマクロ団粒の増加,土壌炭素濃度の減少が生じた.マルチ施用は,>2 mmのマクロ団粒量と,<0.25 mmの土壌炭素濃度の増加に影響していた.マルチ施用区では全てのWSAサイズのδ13Cが上昇していた.バガスを土壌有機物投入源とすると,WSAの土壌炭素濃度や量は,マクロ団粒(>0.25 mm)で不耕起とマルチ施用の影響による変動が生じたが,<0.25 mmでは管理の影響は認められなかった.したがって,マクロ団粒の炭素濃度・量の変化が,バルク土壌の炭素変動に影響していることが明らかになった.土壌炭素変動は長期観測を要するが,マクロ団粒画分を調べることで,数年間の短期的な観測によって土壌炭素貯留に効果的な栽培管理を評価できる可能性を示唆した.


日本生態学会