| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


シンポジウム S16-4 (Lecture in Symposium/Workshop)

人口減少・成熟社会におけるグリーンインフラストラクチャーの推進

*岩浅有記(国土交通省),阿部剛志(三菱UFJ)

現在、国土交通省では今後の国土や地域づくりの指針となる中長期(概ね2050年)を見据えた新たな「国土のグランドデザイン」の再構築に向けた検討を行っているところであり、今後の人口減少や社会資本の急速な老朽化等の社会状況を踏まえ、「人と国土のあり方の再構築」や「持続的かつ効率的な国土管理」が新しい計画の骨格となることが見込まれている。また、生物多様性国家戦略(平成24年9月閣議決定)においては、地域固有の生物相の安定した存続や損なわれた生物相の回復を図るため、保護地域を核とした生息・生育空間のつながりや、適切な配置が確保された生態系ネットワークの形成を進めることが重要とされているが、わが国における取組の多くが点的な事例に限られ、ネットワーク形成が不十分という指摘も多い。一方、欧米等では減災やレクリエーションなどの社会資本整備と自然環境保全を一体的に推進し、水と緑のネットワークとしての「グリーンインフラストラクチャー(GI)」の形成が進められ、欧州ではGIに関するさまざまなタイプの事業が展開されている。このようなGIに関する事業は、生物相の存続や回復のみならず、災害リスクの低減、地域のアメニティの向上、緑地や施設等の整備・管理コストの削減といった社会的に高い便益効果をもたらしている。本発表では、日本の国土における将来の諸課題や欧米におけるGIの形成に関する取組を概観するとともに、今後のわが国における国土強靱化や成長戦略に関する社会資本整備と一体となったGI形成の推進方策のあり方について議論したい。


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