| 要旨トップ | ESJ61 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
自由集会 W11 -- 3月14日 15:45-17:45 C会場
生物多様性喪失の危機として、侵略的外来種の及ぼす影響は非常に重大な問題である。閉鎖的な環境である水辺における侵略的外来種の影響はとくに大きく、各地で魚類や甲殻類、両生類、昆虫類などの様々な分類群への壊滅的な影響が及んでいる。
これらの侵略的外来種に対しては、予防策が重要であるため、法的規制による侵入の防止がのぞましい。わが国では2005年に外来生物法が施行され、オオクチバスやウシガエルなどが特定外来生物に指定された。これらの外来生物については、環境省による防除事業や、NPOなどによる防除が一部で開始されており、その効果が出始めている。また、現在、ミシシッピーアカミミガメなどの特定外来生物への指定が検討されている。
しかし、特定外来生物に指定されているウシガエルやボタンウキクサと同様に、生態系への影響がとくに大きく、分布拡散能力が非常に高いアメリカザリガニやホテイアオイなどは要注意外来生物の指定にとどまっており、規制の実効性が無い。これらは現在でもペットや園芸種として扱われ、環境教育でさえも利用されており、問題は深刻である。
一方で、周知されていないが生態系への新たな脅威になりつつある種や、国内外来種についても近年では大きな問題となっている。
本集会では、各地における侵略的外来種の及ぼす影響についての事例を紹介し、特定外来生物への指定の在り方について、また、今後、このような影響の大きな種を早期に特定外来生物に指定し、効果的な防除を実施するための議論を行いたい。
コメンテーター 宮下直(東大・農)、中井克樹(滋賀県立大)
司会 鈴木規慈