親が子を産む場所、育てる場所は無作為に選ばれるわけではなく、特定の要因にもとづいて選択される。このような産卵/営巣場所の選択は様々な分類群での研究があり、基本的には子の生存や成長に適した場所、親の繁殖成功が最も大きくなる場所を選ぶという明快な理解の下で研究が進められてきた。本集会では昆虫、魚類、両生類、鳥類それぞれを研究対象としている方々をお招きし、その巧みな選択を紹介いただく。分類群間の比較から、共通点や相違点を明らかにし、産卵/営巣場所の選択へのより深い理解を促す。加えて、親が選ぶべき場所は、変動する環境要因、自身が必要とする他の行動（e.g. 採餌, 配偶, 分散）、同種他個体、他種など様々な考慮するべき要素を含む。翻せば、この選択（意思決定）は自身の他の行動から、個体群動態や群集構造といった大きなスケールにまで波及効果をもつ可能性がある。産卵・営巣場所の選択という個体の意思決定が、より大きなスケールでどのような重要性を持っているか、あるいは持ちうるか、さらに今後必要とされる着眼点などについても議論したい。

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