| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) B2-29 (Oral presentation)

外来種オオヒキガエルオタマジャクシの防除法

*原村隆司(京大・白眉セ), Rick Shine (Sydney Univ.), Michael Crossland (Sydney Univ.)

外来種問題は生物多様性を守るうえで避けては通れない課題である。外来種を駆除していくためには、効率良く、しかも在来種に悪影響を与えない駆除法が必要である。オオヒキガエル (Rhinella marinus, 以前はBufo marinus) は世界中の様々な地域に移入され、大食漢でありまた耳腺に強い毒を持っているので、在来種に大きな悪影響を与えている外来種である。我々は、オオヒキガエルの移入先の一つであるオーストラリアにおいて、種内競争(卵の共食い行動)を利用したオオヒキガエルオタマジャクシの駆除法を開発した。オオヒキガエルのオタマジャクシは同種の卵を共食いする際、卵から出ている微量な毒の匂いを頼りに卵を見つけ出し捕食している。そこで、オオヒキガエルが持つ耳腺の毒を疑似餌とすることで、オオヒキガエルのオタマジャクシを捕獲するトラップを作成した。1週間程度のトラップの設置で、4万匹近くのオオヒキガエルオタマジャクシを捕獲でき、またこのトラップは、在来種のオタマジャクシを間違って捕獲することもなかった。このことから、オオヒキガエルの種内競争(共食い行動)を利用した本研究の駆除法は、効率良くオオヒキガエルのオタマジャクシだけを捕獲でき、更に在来種にも悪影響を与えないため、外来種の理想的な駆除法であるといえる。外来種が持つ行動や生態、種内競争等を利用した駆除法を今後も開発していくことは、在来種や生物多様性を守るうえでも大いに役立つと考えられる。


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