| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) B2-32 (Oral presentation)

沖縄島に定着したタイワンハブの現状と対策

*寺田考紀(沖縄県衛生環境研究所), 松井創(沖縄県公衆衛生協会)

沖縄島に定着している大陸東部と台湾が原産のタイワンハブ Protobothlops mucrosquamatusの分布状況の詳細を把握するため、主にベイトトラップを用いた分布調査を行った。名護集団では、2007年の推定分布範囲よりも全周囲的に外側での生息を確認し、これまでにも懸念されていた国道58号線の南側への広がりも確認した。恩納集団の周辺部でも、隣接する米軍基地(嘉手納弾薬庫)内、読谷村やうるま市との境界付近での生息を確認した。また、名護市喜瀬から恩納村名嘉真にかけた地域にも集団が存在することを新たに確認した。結果、沖縄島内の離れた3つの地域にタイワンハブが生息していることになる。

市町村役場を中心にタイワンハブ捕獲の努力をしているが、現段階では生息密度減少の気配は見られていない。効率的な駆除を行うためには、野外で実際に駆除を目指した大規模な捕獲実験を行い、その捕獲努力量や駆除効果を検証し、効率的かつ効果的な駆除手法を確立する必要がある。そこで我々は、2013年度からモデル地域を5地区設定し、ベイトトラップを用いてタイワンハブ駆除実験を開始した。2013年度の駆除実験で各モデル地域におけるハブ捕獲器運用台数とタイワンハブ捕獲数は、名護市大北では97台で56個体、名護市為又では75台で49個体、名護市古我知では15台で11個体、名護市喜瀬~恩納村名嘉真では111台で59個体、本部町伊豆味では123台で174個体を捕獲した。また、モデル地域により体長組成も異なることが明らかになった。今後も駆除実験を継続して行い、駆除効果の検証を行う予定である。


日本生態学会