| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(口頭発表) D1-14 (Oral presentation)
千葉県袖ケ浦市内の管理放棄モウソウチク林において、地上部の管理がモウソウチクの成長に与える影響を調査した。対象とする調査区はモウソウチクの拡大前線では一定の位置を境に発生するすべての稈の伐採が行われている(以降この境界を林縁と呼ぶ)。この管理が竹林内の稈成長にどれだけ影響を与えているかを調べるため、林縁から竹林内に向かって3Mまでを管理圧大、さらに続いて3Mから6Mまでを管理圧中、十分竹林内に入ったエリアを管理圧低と分け、稈数と稈直径、そして稈の状態を調査した。調査区は3M×10Mを1つの単位とし、管理圧大で4つ、管理圧中で5つ、管理圧低で4つの合計13つ設置した。
平均生稈数においては調査区一つ当たり管理圧大で11.0本、管理圧中で20.8本、管理圧低で20.8本という結果が得られた。生稈平均直径においては管理圧大で6.9cm、管理圧中で7.9cm、管理圧低で9.1cmという結果が得られた。また調査区あたりの枯死稈数については管理圧大で1.75本、管理圧中で1.0本、管理圧低で1.0本という結果が得られた。管理圧が大きい場合枯死稈が増え生稈が減ること、管理圧が小さくなるほど稈直径は大きくなることがわかった。
拡大前線での管理効果が林縁から竹林内にもあらわれていることがわかった。これは拡大前線で発筍の稈を刈られ、使った養分を回収できなくなるためと思われる。拡大前線の地下茎を掘り起こしたところ侵入1年目の伸長は161㎝以上だったが、2年目は120㎝、3年目は116㎝、4年目に枯死となっており、管理によって地下茎の成長も落ちることがわかった。
拡大前線での伐採は地下茎の伸長を妨げ養分不足とし、それに起因して竹林内3mにまで稈数の減少、竹林内6mにまで稈直径の減少といった形で成長阻害効果を表しており、継続すれば対症的な処置にとどまらない管理効果を持っていると思われる。