| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) E2-31 (Oral presentation)

先住者効果が岩礁固着性生物群集の多様性に与える影響

*朽木優貴(総研大・先導研), 大槻久(総研大・先導研), 佐々木顕(総研大・先導研)

岩礁潮間帯では、多様な種が主に海面に対して垂直方向に生息深度を変えて共存している。遷移の過程で、岩礁固着性生物群集では初期定着種が後続種の侵入を抑制する場合が多いことが知られており、これは先住効果と呼ばれる。本研究では、先住者による同種の付着促進の効果が固着生物群集の多様性にどのような影響を与えるのかをシミュレーションで調べた。ある個体から一定の範囲内にいる全ての他個体と一様に競争が生じると仮定し、ある種がある地点に多く定着しているほど同種がそこに新たに定着し易くなるという先住効果を考慮した。それぞれの種が一定の海抜に適した形質を持っていると仮定し、海抜をz、形質値(その種にとって最適な海抜)をxとおき、海抜zに定着している種xの密度分布、およびニッチ空間(x軸)上の種の形質分布が時間と共にどのように変化するのか調べ、先住効果の大きさ及び競争の強さを変えると、深度分布および形質分布の平衡状態がどう変わるかを調べた。先住効果が大きくなるにつれ種数はいったん増えてから減るという傾向や、先住効果が大きくなるに従い、平衡分布でそれぞれの種の深度分布が最も適した海抜から外れていく傾向が見いだされた。


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