| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(口頭発表) F1-20 (Oral presentation)
植物群集における種構成は、本来質的な性質である。この種構成の場所間における「相異程度」(あるいは、「不均一性程度」という)を数値化する。相異程度を表わすには、種々の尺度 (指数) が考えられているが、わたしたちは長年Bray-Curtisの尺度を用いてきた。ある景観全体、あるいは景観の代表的な複数のいくつかの場所A, B, …の植物群集からなる種構成の相異程度をSLとする(γ多様性)。SLは景観内の場所間の種構成の相異程度SP(β多様性)、および各場所内の種構成の相異程度SW(α多様性)に加法的に分割できる。さらにSPは場所AとB(SAB)、AとC(SAC)、BとC(SBC)…というように場所間の種構成の相異程度に加法的に分割される。また、場所内の相異程度SPは、場所A内(SA)、場所B内(SB)、…というように場所内の種構成の相異程度SWに加法的に分割される。式で書くと次の通りである:SP +SW = SL; SAB + SAC + SBC + … = SP; SA + SB + … = SW. 植生調査における測定データが、種ごとの ①出現頻度、②被度データ、③個体数、④バイオマスのいずれで測られていても、上記の法則は成り立つ。チベット草原 (2011)や陝西省の半乾燥地 (2012) における調査など、いくつかの実例も示す。わたしたちの調査では、一つの場所で90~100個のコドラートを調べている。