森林を構成する樹木個体の胸高直径（D; cm）とその成長量（dD; cm yr^-1）との関係について新しい現象を見出した。（１）純林においては、両者に高い相関があり、大個体は比例的以上に大きく成長する。（２）混交林においては、（2-1）上層林冠を構成する優占種ではdDとDの間に相関があるが、（2-2）中下層を構成する種では相関が低いかまたはない。この現象を定量化するために、ある種iの最大胸高直径（D_maxi）の林分の最大個体の胸高直径(D_maxstand)に対する比をとり、これを優占度指数とした。dDとDの間の決定係数は優占度指数と相関することが明らかとなり、ここで認めた現象は一般性をもつものと考えた。この現象の成立する要因としては、光をめぐる個体間競争において、（１）純林においては同種他個体だけが競争相手であり、しかも大きい個体が有利である、（２－１）混交林の上層を占める種においても同種他個体が主な競争相手であるが、（２－２）中下層を占める種においては自分より大きい他種個体が大きな要因であり、同種他個体は大きな要因ではない、ことが考えられる。