| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) K2-32 (Oral presentation)

徳之島に生息する希少種リュウキュウテングコウモリMurina ryukyuanaの生態、特に昼間のねぐら利用について

*船越公威(鹿児島国際大生物学研究室),山下 啓(カエルPROJECT),亘 悠哉(日本森林技術協会)

リュウキュウテングコウモリMurina ryukyuanaは、森林性のコウモリで、沖縄島、奄美大島および徳之島に分布する固有種で絶滅危惧種である。樹洞や枯葉等を昼間のねぐらとして利用しているが不明な点が多く、生息の現状に関して本格的な調査がなされていなかった。そこで、徳之島において2012~2014年に調査を行った。調査方法として、標識再捕獲法、アカメガシワトラップ法(船越ほか、2009)、発信機(0.25g)装着による個体追跡を採用した。その結果、頻繁にねぐらを変えており、トラップ以外に、樹洞、群葉(広葉樹や蔓植物など),枯葉(クワズイモ,オオタニワタリなど)、シダ(群落)の葉裏のように森林内の多様な植物を利用していた。ねぐら場所の移動をみると、成獣雄は単独で、特定の場所に定着する傾向がみられた。その利用域は比較的狭く、他個体の雄と重複していなかった。一方、成獣雌の一部は単独でねぐらを利用するが、哺育を終えた多くの成獣雌は、一つのねぐらに集合して亜成獣を含む集団を形成していた。


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