| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-005 (Poster presentation)
生態系発達において生態系改変者である陸生大型ミミズの役割は重要である.その一方でミミズの分布や機能は植生の影響を受けると考えられる.調査地である三宅島の2000年噴火火山灰堆積地では,先駆種でありN固定植物のオオバヤシャブシとハチジョウススキが優占している.両種では葉の窒素含有率等が異なり,この特性がミミズの分布と土壌特性に影響を与えると考えられる.本研究では三宅島2000年噴火火山灰堆積地において遷移初期植物の侵入がミミズと土壌特性に与える影響について明らかにすることを目的とした.
調査地は2000年噴火後に成立したハチジョウススキ草原,オオバヤシャブシ低木林とした.各サイトにおいてハチジョウススキパッチ下,オオバヤシャブシパッチ下を選び,計41地点においてミミズ個体数,土壌硬度,リターの量,土壌の全炭素量,全窒素量を測定した.ミミズの個体数,土壌特性に関しては一般化線形モデルを使用し解析を行った.
ミミズの個体数は,オオバヤシャブシ低木林のオオバヤシャブシ下で最も多かった.GLMの結果,ミミズの個体数はサイトと植物種が選択され,サイトスケールでオオバヤシャブシ低木林,パッチスケールでオオバヤシャブシパッチ下が有意に正に選択された.全炭素量,全窒素量はハチジョウススキパッチ下よりもオオバヤシャブシパッチ下で多く,土壌硬度はハチジョウススキパッチ下よりもオオバヤシャブシパッチ下で低かった.以上の結果から遷移初期におけるオオバヤシャブシの侵入がミミズの個体数増加,土壌特性に影響していることが示された.また土壌特性についてはミミズの影響を反映している可能性がある.