| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-010 (Poster presentation)
ナラ枯れは、放置されナラ類が大径木化した落葉広葉樹二次林で起こる最も大きな問題の一つである(黒田2008)。ナラ枯れに対する予防策として、皆伐による森林の若返りが期待されている。その再生様式の一つとして萌芽更新があるが、大径木化したナラ類の萌芽能力には不明な点が多い。もう一つの再生様式として実生更新が重要であるが大径木化したナラ林皆伐後の実生更新の情報も少ない。そこで本研究では、放置された落葉広葉樹二次林を皆伐し、ナラ類を中心として萌芽更新と実生更新を明らかにすることを目的とした。調査地は岡山県真庭市に分布する温帯性落葉広葉樹二次林である。2013年11月に皆伐を行い、翌年に40m×90m(0.36ha)のプロット内でコナラとクヌギを対象として切り株からの萌芽発生の有無を調査した。1×1mのコドラートを多数設置し、発生した当年生実生を5月から10月にかけ全て記録した。クヌギの萌芽発生の有無では、樹齢が若く直近の平均成長量が大きく伐採高が高い切り株で萌芽を発生させる傾向がみられた。一方で、コナラではそのような傾向が見られなかった。コナラはクヌギよりも高齢化していたが、調査地の樹齢(50年生~75年生)の範囲では高齢化に関係なく萌芽を発生させていた。出現した実生個体数は43.3個体/㎡で約40%がクマイチゴやカラスザンショウなどの先駆性樹種に占められた。コナラとクヌギの当年生実生の発生数は非常に少なかったが、皆伐による開放地のため生残率は100%と高い値を示した。またコナラの実生は南東より北側斜面での発生が多く、乾燥しにくい斜面で発生する傾向がみられた。