| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-084 (Poster presentation)
植物と環境の相互関係の理解には,植物の生理生態的な振る舞いを継続的にモニタリングすることが重要であり,その精密・正確なモリタリングのためには、植物体への影響が極力小さく,かつリアルタイムで情報を得ることが可能な計測システムの構築が不可欠である.このような状況を鑑み、著者らは,植物体内の水分・栄養物質動態を,非破壊的に高解像度で追跡することが可能な維管束(道管流/師管流)モリタリングシステムの確立を目指した研究開発を進めている.
本研究では, 師管流の流れ方向・流速・成分等の計測を狙いとして,カンチレバ-上に機能集積化した超小型の師管流センサを新たに提案した.提案したセンサの先端部に形成された5本のカンチレバ-状のプロ-ブ(幅:100μm,長さ:300~400μm)上には,温度センサ,マイクロヒ-タ,電気抵抗測定用電極等が設けられており,これらのプロ-ブを組みあわせることで,維管束(道管/師管)の位置情報,師管液の流速,その流れの方向を測定することができる.
製作したセンサデバイスでは, 温度センサ(感度:-5.6mV/℃),マイクロヒ-タ(室温から50℃±1℃の加熱制御),電気抵抗測定用電極(Al電極)等の各部が正常動作をすることを確認した.続いて,擬似植物実験系(マイクロシリンジポンプとφ1mm程度の細径チュ-ブ)と製作したセンサを用いて,流速,その流れの方向の測定を行なった.その結果,0~200μm/sの範囲での流速測定や各部の温度センサの高低から流れの向きの判定を行なえる見通しを得た.
現在,実際の植物での測定・適用を目指して,これらの詳細実験を進めている.