| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-018 (Poster presentation)
北海道苫小牧市に位置するウトナイ湖を対象に、1984年~2009年の間の水生植物群落の分布パターンの変遷を明らかにし、その変化をもたらした環境要因について解析した。
分布パターンの変化は、1984年~2009年までの間に湖内で行われた植生調査のデータをTWINSPANにより分類し、経年的な群落構成比と分布の変化を把握した。
分布パターンの変遷では、スギナモ群落、ヒシ群落の減少やホザキノフサモ群落、セキショウモ群落の拡大など、25年間で分布パターンが大きく変化していた。
水生植物群落と環境因子の解析では、多重比較検定で殆どの環境因子に群落間の有意差がみられた。特にスギナモ群落とホザキノフサモ群落及びセキショウモ群落の比較では、PO4-P以外の塩類と全窒素の平均値がスギナモ群落で高く、ホザキノフサモ群落とセキショウモ群落では低かった。物理環境では、水深、DO、pH、流速、透視度等の平均値がスギナモ群落で低く、ホザキノフサモ群落とセキショウモ群落では高かった。CCAでは、全窒素と塩類がスギナモ群落と正の相関があり、水深、DO、pHはホザキノフサモ群落及びセキショウモ群落と正の相関、SSは負の相関があった。これら群落分布と各因子の傾向は多重比較検定の結果と一致した。CCAで抽出された主な環境要因と湖内の経年的な観測資料の比較では、水深、Cl-、SSの経年的増加とそれに対応するホザキノフサモ群落及びセキショウモ群落の増加、加えてスギナモ群落の減少の関係が良く一致した。また、CCAでは水深の説明力が最も高かったことから群落分布の変化を最も合理的に説明する環境要因は水深であることが確かめられた。