| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-064 (Poster presentation)
造林初期の植栽及び下刈り等に要する経費は、育林経費全体の約6割を占め、再造林コストが木材生産収入を上回ることから、皆伐後に再造林が実施できない現状がある。近年、普通苗に替わりコンテナ苗を用いた再造林コスト削減の技術開発が全国的に展開されている。しかしながら、コンテナ苗の初期成長は普通苗と同等程度の報告が多く、成長速度の飛躍的な優位性は示されていない。これはコンテナ苗の形態形成に及ぼす育苗法が影響していると考え、育苗密度が任意に調整可能なMスターコンテナを用い、コンテナ育苗時の密度を調整したスギ及びヒノキ2年生コンテナ苗を育成し、それらコンテナ苗の初期成長を苗木形質から検討した。その結果、植栽後1成長期間のスギ樹高成長量及び直径成長量には育苗密度が影響し、密度が低いほど両成長量は大きかった。これは育苗密度が低いほど比較苗高(H/D)が小さく、さらに比較苗高が小さいほど樹高成長量が大きくなる関係が認められた。一方、ヒノキでは育苗密度の影響は認められず、比較苗高と樹高成長量にも有意な相関はなかった。スギとヒノキでは育苗時の密度効果がその後の初期成長に異なる影響を及ぼすことが示され、コンテナ育苗では密度調整を考慮する必要があると考えられる。