| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-167 (Poster presentation)

赤い葉は嫌い:オンブバッタの色覚による餌選択

*井出純哉, 古賀至, 高原康綱(久工大・工・教育)

植物の中には新芽が緑色ではなく赤や紫色をしている種類がある。これは新芽を普通の葉とは異なる色にすることで、新芽に有毒物質を含むなどの防御手段を講じていることを植食者に向けて宣伝するためのものであると考えられる。実際、赤い新芽は食害をあまり受けないことが明らかになっている。しかし、植食者が葉の色の違いを認識せずに赤い新芽を食べてみたところ不味かったので摂食を中止したという場合でも、赤い新芽があまり食害を受けないというパターンは生じうる。ところが、植食者が摂食以前に葉の赤い色を認識して避けていることを確かめようとした研究はほとんどなく、鱗翅目の一種類で赤い葉を避けることが確認されているのみである。そこで、他の分類群の植食者も色によって葉を選んでいるかどうかを確かめるために、オンブバッタを用いて実験を行った。

オンブバッタにアカジソとアオジソの葉を与えてどちらを選ぶか調べたところ、多くの個体がアオジソを選んだ。しかし、色が分からないように暗黒条件下で同じ実験を行ったところ、アカジソとアオジソをほぼ半々の比率で選んだ。従って、オンブバッタも色によって食べる葉を選んでいるといえる。この結果は、植物と植食者の共進化によって赤い新芽が進化したことを示唆している。


日本生態学会