| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-008 (Poster presentation)
世界人口の54%が都市部に居住し、2050年には66%にまで達するとの予測がなされている。人口が1000万人を超える都市圏(メガシティ)は、アジアに多く存在しているにも関わらず、都市化に伴う生物多様性の変化を検証した研究は限定的である。モンスーンアジアの平野部における急速な都市域の拡大は、水田環境や周囲の二次林が涵養してきた植物の種数と種組成を大きく変化させている可能性があるため、その影響評価は急務となっている。日本において、特に阪神地区の水田生態系は1950年以降、広大な面積が都市として開発されてきた。都市化は生息地における人為管理の頻度や強度を変化させると推測され、高頻度の撹乱に耐性を持つ、開花高の低い植物種の群集が形成されている可能性がある。
本研究は兵庫県阪神地区の都市域から里山域にかけての20地点の水田畦畔草地を対象として、植物の繁殖成功の指標となる開花に着目して調査を実施した。1地点に2×30mのベルトプロットを3本設定し、それぞれのプロットで開花していた植物種それぞれ5個体を選定し、開花していた花の高さを記録した。調査は5,6,7,9月の年4回実施した。調査で開花が確認された全310種の植物種を対象として、開花高と都市化との関係を解析した。
結果から都市化に伴い水田畦畔の管理頻度は増加することが明らかとなった。約40cm以上で開花する植物種の種数と開花数は都市化に伴い顕著に減少していた一方で、約20cm以下で開花する植物種の種数と開花数は都市化に伴い増加しており、開花高の低い植物種には外来種も多く含まれていた。さらに、本傾向に影響している要因についても検証した。