| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-042 (Poster presentation)

イボニシの餌選好性変化時期とその餌種の個体群動態の関連性

戸祭森彦*,今孝悦(筑波大院・生命環境)

イボニシReishia clavigeraは岩礁潮間帯に生息する肉食性巻貝で,主にフジツボ類やイガイ類を捕食する.本種は餌選好性を有し,それが単一餌による長期飼育によって変化する事が報告されている.この変化が生じるメカニズムについては踏み込んだ議論がなされておらず,季節的な変化である可能性も残されている.もしイボニシの餌選好性に季節性変化があれば,本種の捕食圧もそれに伴って変動し,餌種個体群動態に季節変化を与える可能性がある.餌種の新規個体が出現する時期との重なりを考慮すれば,複雑な種間関係に起因する餌種個体群動態を理解する一助になることが期待される.本研究では,イボニシの餌選好性には季節性変化があるか,餌種個体群がその変化に影響を受けているのかの2点を検証する事を目的として以下の実験を行った.調査地は静岡県下田市鍋田の岩礁潮間帯とした.

①単一餌飼育による餌選好性の変化期間の推定

本調査ではイボニシの餌選好性変化に季節性があるかどうかを確かめる事を目的として,2013年9月から翌年11月まで,先行研究を踏襲して単一餌飼育を行った.調査地の潮間帯上部から採集したイボニシをクロフジツボTetraclita japonicaのみを与えて飼育し,毎月餌選好性を調査することで季節性変化の有無を検証した.

②餌種個体群動態調査

本調査ではイボニシの餌選好性変化が餌種個体群に与える影響を評価する為の基礎研究として,2013年9月から餌種個体群の月次変化を調査している.調査対象は捕食者のイボニシ,餌種のクロフジツボ,カメノテCapitulum mitella,ムラサキインコガイArcuatula senhousiaとし,個体数調査を毎月行い,現在までの結果を用いてその個体群動態を解析した.


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