| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-046 (Poster presentation)

冷温帯アカマツ林におけるリター分解と土壌動物相(特にササラダニ相)の変化―リターバッグ法による検証―

*Yano, S.(Tsukuba Univ.), Hirota, M.(Tsukuba Univ.)

土壌節足動物は分解途上のリターを粉砕し、微生物を摂食することで、陸上生態系の物質循環において重要な役割を果たしている。なかでもササラダニ亜目は、最も種数および個体数が多い分類群であり、土壌圏の腐生連鎖において落葉変換者、微生物食者として機能する。様々な食性や分布様式があるササラダニ亜目が有機物分解に及ぼす役割に関する知見は多くあるものの、積雪期における有機物分解の動態とササラダニ亜目を含む土壌節足動物相についての知見はあまり多くない。そこで、本研究では積雪期を含んだ時期のリター分解と土壌節足動物相の変化の関係を明らかにすることを目的とした。

調査は最大積雪深が90 cm以上となる筑波大学菅平高原実験センター内のアカマツ林でリターバッグ法を用いた。落葉直後のアカマツリターを入れたリターバッグを積雪前の2013年11月に林床に設置した。リターバッグの回収は、12月から3月までの積雪期を含む期間に計6回行った。回収したリターバッグ内のリターをツルグレン装置にかけて土壌動物を抽出し、その後リターの乾燥重量を計測した。抽出した節足動物門は目レベル、ササラダニ亜目は種レベルまで同定し、個体数を数えた。ササラダニ亜目は鋏角の形から2つの食性グループに分けた。

リターバッグ設置から28日後までの期間のリター分解速度が最も速く、積雪期間後期には遅くなった。積雪下における節足動物の個体数は少なく、非積雪期間はササラダニ亜目が優占した。また、ササラダニ群集は全ての時期で大きな有機物の欠片を直接摂食できるグループの比率が高い傾向にあった。11月になると細片となった有機物を摂食するグループの比率が少なくなった。


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