| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-002 (Poster presentation)

個体数x種数による干潟マクロベントスの多様性評価

*高田宜武(水研セ日水研),内田基晴,手塚尚明,辻野睦(水研セ瀬戸内水研),丹羽健太郎,寺本航,石樋由香(水研セ増養殖研),阿部信一郎(茨城大教育)

干潟域は海水と陸水の接点であり、干潟群集は高い生物多様性と生産性をもつとともに漁業その他の人間活動の影響が強く作用する群集だと考えられている。群集の多様度を評価するために一般的に用いられる多様度指数は、群集サンプル内の種構成(各種の割合)を計算の基本にしている。種構成を用いると、定面積採集や個体数推定が難しくても多様度指数の計算が可能だという利点がある。しかし、干潟ベントス調査の場合はコドラート法による一定面積採集が基本的なデータである。種構成が同じでも、密度が2倍ならば「2倍良い」と言える指数があると便利である。森下(1967)は個体数Nと有効種数(シンプソン多様度2D=1/D)の積で表される群集繁栄指数N2Dを考案した。そこで、干潟マクロベントスの調査データを用いて一連の繁栄指数を算出し、地点間の比較をおこなった。

本州および九州の干潟域7カ所で一辺20cmの方形枠を用いてベントスの採集を行った。得られた30地点の試料からマクロベントスを抽出し、種査定ののち組成表を作成し各指数を求めたところ、種数は8-25種、個体数は30-1684個体、シンプソン多様度は1.4-12.4の範囲にあった。繁栄指数は165.6-2363.6の範囲となり、最大値と最小値の比が14.3になった。得られた試料中では最大個体数を示した赤穂Aでは、二枚貝の1種が突出して優占していたため最小の多様度を示したものの、繁栄指数では再度試料中で最大の値を示した。また、最小の繁栄指数を示した赤穂Bでは、多様度は中程度であったものの個体数が少なかった。底質等いくつかの環境変数との相関を見たところ、多様度指数よりも繁栄指数の方が有意な相関が多く認められた。これらの結果をもとに繁栄指数の利用について検討する。


日本生態学会