| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-008 (Poster presentation)

畑地において環境保全型農法がミミズ群集に及ぼす影響

*金田哲((独)農環研),小松崎将一(茨城大農),大久保慎二(自然農法センター)

環境への負荷を軽減し安全かつ持続可能な食料生産を行うために環境保全型農法の開発が現在進められている。環境保全型農法では、化学肥料および農薬の使用を慣行農法より抑えるため、土着生物の養分循環機能、団粒形成機能、害虫制御機能などの利活用が欠かせない。ミミズは、養分循環や団粒形成などを行い農業生産や土壌形成に影響を及ぼすため、環境保全型農法において重要な動物である。しかし、日本においては環境保全型農法がミミズ群集に及ぼす影響は十分には明らかにされていなかった。そこで、本研究では、畑地において環境保全型農法がミミズ群集に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、カバークロップ栽培、自然草生栽培、有機栽培実践圃場においてミミズ群集を調査すると共に、要因実験として耕起処理と有機物施用処理がミミズ群集に及ぼす影響を評価した。カバークロップ栽培圃場では、カバークロップとロータリー耕の処理を評価する4処理区を、有機栽培圃場では、化学肥料農薬、化学肥料無農薬、無化学肥料無農薬散布処理の3処理区を設けた。自然草生栽培圃場では、有機栽培(耕起および除草)区と自然草生栽培区を設けた。要因実験では、年間の耕起回数(3水準)と有機物施用処理を評価する6処理区を設けた。それぞれの圃場調査は、初夏と秋の年に2回行い、2年間継続して行った。調査の結果、カバークロップ栽培と自然草生栽培がミミズの現存量と出現種数を増加させたものの、有機栽培圃場では、有機栽培区でもミミズが定着していなかった。要因実験の結果、耕起処理がミミズの現存量を著しく低下させた。有機栽培圃場においては、有機栽培区においても耕起が行われていたため、有機栽培圃場においてはミミズが定着できなかったと考えた。


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